隙間家族

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FUJIFILM X100T






靴を脱いでナビゲーションシートの上であぐらをかき、手のひらの上でリップクリームのキャップを乗せてクルクル回している。見慣れたどこにでもあるポピュラーなリップクリームは、いつも肌身離さず持っている大事なものだ。お年ごろになる娘は、唇の乾燥と常に闘っているらしい。







「そんなことしてたら、シートの隙間にキャップ落っことして、パパに怒られるで」







僕の真後ろに座っている妻が、フワフワ座る娘に声を荒げる。







「そんなことくらいで、怒ったこと無いよなぁ?」







ステアリングを大きく右にゆるりと切りながら、僕は首を横にフニャリと倒して娘に声を掛けた。「なーぁ」と、目を合わせて意気投合する。片側2車線の旧道に出て、僕はアクセルを強く踏んだ。小気味良くシフトアップしていると、後部座席から声がする。







「へぇー。ほしたら、このシートの隙間に何か落としとったんねん」
















それは、怒る。















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by saibara31 | 2018-06-04 21:50 | あなた天使ちゃん | Comments(0)