料理人

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FUJIFILM X100T







大小30個ほどのスーパーボールを湯船に浮かべ、計量カップみたいなプラスティック製のコップにどっちが多く入れることができるかという娘が考案したゲームをやらされている。僕にしてみたらプカプカ浮かぶスーパーボールを掴むフリして、娘を触るといった立派なセクハラゲーム。キャッキャ言いながらぬるくなってしまったお風呂で騒いでいたら、急に真顔になった娘が手を止めた。







「ママが、レストランで働きだしたってパパ知ってる?」







「うん。しってる。」







お湯の色に同化してしまっている透明の小さなボールを、老眼の弱い眼で見つけて掴み短く答えた。娘は「えっ」という少し驚いた表情を見せて、自分の脇の辺りに迷い混んだパンダの絵の入ったスーパーボールを左手で掬い上げた。







深夜に近い時間まで4時間、パートでレジ打ちの仕事をしている妻。最近、不景気なのか随分とシフトを減らされたと文句を言っていた。それから数日後、その仕事とは別に近所のレストランで働くわと突然言ってきた。子供が学校行っている間ヒマだし、週2日くらいで自由にシフトが組めるというのが働く決め手になったそうだ。








「コックさんの高い帽子被って、お料理作ってるんやって」








小さな声で言いながら、計量カップに溜まった水をスーパーボールが落ちないように手で押さえながら抜いている。








「鴨、焼いてるらしいで」







妻からレストランと最初訊いた時はてっきりホールだと思っていたら、キッチンだというので驚いた。じゃぁ、皿洗いなんだって思っていたら、鴨を焼いてるというので、腰を抜かすほど驚いた。







「ママ、お家でお料理出来ないのに、大丈夫なん?」








6歳にもなると妻の料理がどれくらいのレベルなのか、全てを知っているかのような言い回しに、僕は少し笑ってしまった。







「さぁ、どうやろなぁ。鴨、パサパサなってるんとちゃうん?」







コソコソと声を絞って会話していたのだけれど、娘と目が合って大声で笑い転けてたら風呂場の扉が少しだけ開いて、その隙間から僕らを睨んでいる妻と目があった。


















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by saibara31 | 2016-06-22 20:27 | あなた天使ちゃん

FUJIFILM X100T で撮った写真ブログ&兵庫及びその周辺まち歩きと、デミオ15MBで行くドライブ日記。  * このページはリンクフリーです。


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