





FUJIFILM X100T
「私一人で洗えるから、パパはもう入ってこないでよ」
ああ、ついにこの時が来たのか。25歳くらいまでは、一緒に入れると思っていたのに。まだ6歳だというのに、それが今日ですか。今日なのかよー。コップに入れた水が表面張力を超えて零れ出ている感じ? いや、違うな、それは花粉症か。
風呂場に入ってくるなと僕に強く釘を刺すと、娘は手際よく後ろ髪を束ねた髪留めを器用にはずし、脱衣所で服を脱いで洗濯機に放り込みバスルームのドアを開けて消えていった。シャワーの水流が激しくバスルームのドアのアクリル窓に跳ねる音が、リビングでテレビを観ていても聞こえてくる。
「パパー。パパー。早くタオル持って入ってきてよー。」
数分後。しばらくおとなしいなと思えばバスルームから大きな声が聴こえてきた。
シャンプーが目に入ったらしく、大騒ぎしている声が風呂場にこだましていた。シャツとパンツを脱げばすぐにハダカになれる状態で待機していて正解だった。
その場でハダカになってタオルを持ち、小走りで風呂場へと向かった。
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