「佐川さんから不在票入ってたけど、何か頼んだ?」
最近、囲碁盤やらエアコンのリモコンやら、フォトブックやらと家へのお届け物が続いていたので、妻がメールで僕に訊いてきた。
「いや、何も頼んでいないけど」
「健康クラブって、不在票に書いてるけど」
「ネットで調べてみたら、”にんにく黒酢”とか売ってる健康食品の通販サイトとかの会社っぽいけど。なんやろ」
「何かに引っ掛かったんちゃうん? 加西市網引の佐川さんやし、網引行った時、何か書いたんちゃうん?」
思い当たる節は無いもない。間違ってネットで何かをクリックしていたなら、メールで知らせてくるはずだ。それもない。だとしたら、健康食品送りつけ商法なのか?
「要りませんって言うて送り返そか?」
「何かもわからんもん、要りませんいうんか? それより、佐川さんいうけど下請けさんで、配達して歩合でもらってるんやから、送り返すなんかあり得へんやろ? 誰宛かもわからへんし、何が入ってるのかもわからんねやろ?」
「だって、不在票に”健康クラブ”しか書いてへんねんもん」
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2日、放ったらかしにして、カレーに入れたウインナーをスプーンで2つに切った時、「健康」というキーワードに僕は引っ掛かった。
「あのさぁこの前、健康診断受けたよな?」
「うん」
小盛りのカレーライスを平らげた妻が脳天気に返事する。
「その、結果とかちゃうん?」
「そんなん佐川さんで来る? なんで網引の佐川さんから来るんよ」
「さぁ? 健康診断の時の資料とか見返してみたら?」
「ひょうご健康クラブって書いてあるー」
人騒がせな妻が、慌てふためいて佐川さんに再配達の依頼の電話をしていた。
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