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Every day like the one before

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FUJIFILM X100T






以前にとある方のblogで、デイリーヤマザキの「ハムカツ」が大変に旨くてお勧めだという記事を読んでから無性に食べたくなり車を走らせて40分先のコンビニまで行ったことがある。まぁ、普段からそんなに揚げ物に対して熱烈な欲をぶつけたりすることはないのだが、ハムを揚げただけといういたってシンプルな「ハムカツ」という食べ物がそんなに旨いものなのか、実際この目で確かめたくなった。しかし、どういうわけかそのデイリーヤマザキには、「金曜日だからフライデー」とか駄洒落ってる癖にお目当ての「ハムカツ」が用意されていなくて残念な思いをした。それから数軒の思い当たるデイリーヤマザキを回るも、まったく「ハムカツ」には出会えなかった。出会えなかったことで、僕の中で食べたい欲がさらに膨らみ続けていたのは事実。でも実際、会えなかったから僕には縁がなかったのだろうか。










あれから数日、もう僕のなかでは、「ハムカツ」のことなど記憶から徐々に薄れ去っていった。










週に一度の頻度で、神戸の山奥にあるデイリーヤマザキに立ち寄ることがある。車でしかいけない場所にあるコンビニ。そう、それが今日だったのだ。お勧めの手作り弁当も美味しそうなんだけれど、ちょっとばかり先を急いでいることもあって甘めのヤマザキ製パンさんのパンを2つだけ手に取ってレジにならんだ。ちらっとフライものが置かれているコーナーを何気なく見てみると、そこに「ハムカツ」がたったひとつだけ隅の方で鎮座しているではないか。老眼化が進んでいる僕の目でもしっかりと確認できた。いや、違う。何か違和感。「ハムカツ」ではなく、「厚切り」がプラスされパワーアップされた「ハムカツ」じゃないか。しかも、通常価格120円のソレが、特別価格の100円だというPOPが付けられている。僕は、パン2つの料金をレジで払い、彼が鎮座しているスナックコーナーのある棚の前を素知らぬ顔をして通りすぎ、顔を伏せ店を出た。










「絶対に、食べないと後悔するぞ」










「厚切りを、ハムカツと認識していいのか」










だれかがそう叫ぶ。










「もう一度、店へ行くのだ。そして、厚切りハムカツを買ってしまえ。」










店を出て、数秒間じっと立ちすくみながら迷った。そしてパンを入れた白い袋をブラブラさせて再び店に戻り、僕はスナックコーナーにある「厚切りハムカツ」を優しくそっと手に取った。ハムカツの温もりが手にじわりと伝わる。たしかブログの筆者さんは、食事感が出るからソースは付けないと言ってた。真似しよう。消費税込みで108円握りしめてレジにならぶと、「100円です」とオネエサンがレジを打ちながら言ってくるではないか。なんということか、消費税込みの価格で100円だったとは。










「バカヤロー」










スナックコーナーを素通りしてしまった数分前の僕を罵倒した。










白い袋を2つ持って店を出た。店を出てからすぐに袋からそっとまだ温かい「厚切りハムカツ」の方を出して、すかさずそっと口に運んだ。噛み切った瞬間、サクッと気持ち良い音がした。そして僕は思わず声を出さずに笑っていた。口の中で、旨さが爆発しているのだ。なんだこれは。僕はさっき、こいつの前を素知らぬ顔で通り過ぎようとしていたのだ。バカバカバカ。2口、3口と貪り食う。油で揚げてあるのに、ベタベタ感がなく、サクサクと小気味い歯応えで衣が口のなかに広がる。それを堂々とした厚切りのハムがどうだとばかりに存在感を示す。繊細なものと無骨なものとのハーモニー。光と影。ハレとケ。満たされる充実感の中で、僕はあっという間に完食した。口の周りに纏わり付いた油とサクサクの衣の残像を舌でペロっと舐めて、最後の余韻を味わった。元々販売されていた「ハムカツ」は確か108円だったと訊いている。「チープ」だの「ジャンク」だの「B級」だのと表現されて、しばらく世の中から消え「厚切りハムカツ」にバージョンアップして生まれ変わって姿を表したのだと僕は勝手に想像した。








「厚切りハムカツ」の入っていた小さな袋を丸めて薄い透明のプラ容器に入れ片手に持ちながら、ゆるりと曇り空を見上げた。









雨がポツリと降ってきた。









ごちそうさまです。















by saibara31 | 2016-06-06 21:29 | X100T まち歩き

FUJIFILM X100T で撮った写真ブログ&兵庫及びその周辺まち歩きと、デミオ15MBで行くドライブ日記。  * このページはリンクフリーです。


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