網引駅の木蓮
2016年 03月 25日
FUJIFILM X100T
冬型の気圧配置に戻り、朝が冷え込むと天気予報が伝えていたので、居ても立っても居られず出社前の朝5時に北条鉄道の網引駅まで寄り道。平日の始発の時間は、誰も居ない網引駅。咲き誇る木蓮の花も独り占め出来るとおもうと少し震えた。
ファインダーを覗き込み、素通しのガラスを通して被写体を見ながらピントリングを少しづつ回して空気と会話する。この瞬間がたまらなく好き。息を殺して、シャッターを静かに押す。辺りの静けさに合わすかのような微かなシャッター音が、指に小さく伝わった。
駅なんだから木蓮と列車を絡めるという撮り方をするのが常識なのかもしれないが、花が醸し出すオーラに圧倒されてすっかり木蓮に夢中になってしまった。「私だけを撮りなさい」と言っているかのように。
空の色が刻々と変わる朝の時間。
雲の隙間から放射状に伸びるオレンジ色の光芒を目の当たりにして、写真を撮るのも忘れて暫くのあいだその場に釘付けになっていた。
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