綺麗好きというDNA
2013年 09月 07日
毎日、磨いていると、そのうち拭く場所もなくなり、エンジンルームや、ボディーの継ぎ目やドアのヒンジまでも磨く有様。休みの日も、コンビニで少し休憩したりイオンの駐車場だったり、少しの時間があれば車を拭いている。
それを観ている3歳8ヶ月になった娘もウチで屋内専用になったアンパンマンの三輪車をウエットシートで拭いているのを見て微笑ましく思う。
「潔癖症か?」
信号待ちの時ですら車内用のクロスでメーター回りやダッシュボードを拭くワタシを見て、会社の同僚は可笑しな目で言う。潔癖症というわけではないのだけれど、ワタシの場合ただ綺麗になるのが嬉しいだけだ。それも、車や、掃除機、エアコン、テレビに扇風機といった機械系に限る。
部屋の掃除より、ダイソンの掃除機の掃除の方に時間を掛けているワタシはどうかと、妻は思っている。
娘が鋭い形相でワタシを睨んでいる。
それは、先週の日曜日の話。このところ週末は決まって雨ということで、毎週のように神戸元町にあるボーネルンドあそびの世界”キドキド”神戸BAL店に通っている。
だいたい、オープンの10時30分からお昼ごろまで、身体を使った遊びを中心にして時間が過ぎる。
後半は、おままごと。
珍しくお昼ごはんに「ラーメンが食べたい」というので、三宮に向かってワタシと妻と娘の三人で歩いていた。阪急三ノ宮駅の西口付近にあるとある民芸調のラーメン屋さんの暖簾をくぐると、4人がけのテーブルはわずか3席しかなく、しかも満席の状態だった。仕方がないので他の店に行こうと背を向けかけた時、まだオーダーもしていない若いカップルがワタシ達の存在に気づき2人がけの小さなテーブル席へと移動してくれたのだ。
「ありがとうございます」
まだまだ日本の若者も捨てたもんじゃないな、と少し恐縮しながら席に着く。
若い女の店員さん注文を聞きにきた。「しょうゆラーメンをチャーハンのセットで、餃子を付けて、それと味噌ラーメンの単品で」 普段250円の餃子が今日は190円だというノボリが店の前に出ていたというのに、周りの客は誰も餃子を注文していないことに気づく。
「この椅子汚い」
”民芸調”ということなのか、北海道の木彫りの熊のイメージの椅子。黒く塗装がしてあって、娘の目には汚く映ったのかもしれない。
「じゃぁ、ママの横に座るか?」
向かい合って座ってる妻の席の横に娘を座らせる。ワタシの前に娘がいる格好。
店員さんが子供用にと、プラスティック製のイラストのプリントが剥げたお碗を2つと、プラスティック製のこれまたプリントが剥げて白くなったスプーンとフォークを持ってきた。
「これに何入れるん?」
平べったくなったお碗にチャーハンを入れて、丸いお碗にラーメンを入れることを事前に説明させていただく。
店員さんが、「餃子です」と薄く焦げた6つ入った餃子の皿を妻の前のテーブルに置く。その餃子の一つを取って平べったい方のお碗に入れて娘の前に置く。
「・・・・・」
「どうしたん? 食べよ」
じっと餃子を見つめる娘。
「臭い」
残りの5つの餃子の中から一つ摘んで、ラー油だけの小皿に沈め食べてみる。「うーん、そうかな・・・」旨いとも不味いともなんとも印象に残らない味。
「このスプーンとフォークは何に使うの?」
攻撃的な質問に変えてきた娘。椅子の座面のビニールが少し破れているのが気に入らないらしい。
味噌もしょうゆも同じくらい黒い色したラーメンが運ばれてきたときには、娘の怒りがピークに達していた。
「食べない」
つべこべ言うと、5秒で泣くという武器を持っている娘。ここは触らぬ神に祟りなし作戦で、妻とワタシおとなしく黒いスープのラーメンを啜る。
味など、わかりやしない。
このプラスティック製のお碗は綺麗なのか? って論議に発展しそうな勢いだったので、あとから出てきたチャーハンは出てきたままの姿で娘の前に置いてみた。
某テレビドラマの「なんとか返しだ」ってシーンの形相でワタシを睨みつける娘。
しかも頑固で意志が固いときたもんだから、食べないと決めたら、食べない。
先週も外食をしたとき、しょうゆ挿しが汚いだとか、テーブルのどこそこが錆びているだとか、機嫌を損ないそうだったなと思い出す。きっと、娘のそれは、日本を代表する潔癖俳優・坂上忍ばりのキレイ好き、潔癖さに匹敵するのではないか。
ワタシのDNAを引き継いだにせよ将来が、ある意味心配である。
家で食後、テーブルを拭いていたり、最近ではお風呂も身体を洗ったあと、風呂の床掃除まで始める始末。湯船に髪の毛なんてもってのほか。
”黒かびは、模様”という妻の苦しい説明などもはや通用しない。
「ずぼらチャン」よりはマシちがうか・・・。
娘を私立の幼稚園に入れるか、市立の抽選に挑むのか、今週は大課題が待ち構えている。